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『講談社BOX』は結局成功したのか? 新会社・星海社の第一手は「ゼロ年代」の遺産・『ひぐらし』と『Fate』――「オタク学!」vol.14

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―本誌ライターの小山内さんによる、コラム「オタク学」。「オタク的な分野×社会学」というテーマのコラムです。―

星海社は、大手出版社のひとつ、講談社の出資で設立された子会社だ。漫画や小説を配信するウェブサイト『最前線』を運営すると共に、小説の文庫を昨年末から発売している。ウェブを中心とした出版の確立を掲げ、声優による朗読会を開くなど、何かと注目を集めている。

「僕たちは新しい才能が放つ新しい輝きを信じ、それら才能という名の星々が無限に広がり輝く星の海で遊び、楽しみ、闘う最前線に、あなたとともに立ち続けたい。」

上は星海社の公式サイトで語られている「理念」だ。だが同社が文章の通り「新しい才能」を発掘できるかどうか、過去の経緯を振り返ってみると微妙なところだ。

■敏腕若手編集者が次々と世に送り出す、「西尾維新」『ファウスト』『講談社BOX』

星海社の副社長・太田克史さんは講談社の編集者でもあり、人気ライトノベル作家・西尾維新さんの初代担当としても有名だ。他にも現在は純文学方面で活躍する佐藤友哉さん、芥川賞候補にもなった舞城王太郎さんなどをデビューさせている。太田さんの「一人編集長体制」のもと作られたライトノベル誌、『ファウスト』の売り上げも好調だった。

その太田さんは2006年に、『講談社BOX』という新たなレーベルを立ち上げた。『BOX』の本は銀色の箱に入れられた形式で発売され、小説だけでなく漫画・ノンフィクションなども扱われ、西尾さんの『化物語』や『刀語』といったヒット作を出した。

■アルファブロガーも指摘する『BOX』の問題点 維新の後を継ぐ人材を発掘できるか?

だが、膨大な読書量を背景に持つ書評に定評があるアルファブロガー・小飼弾さんは、『化物語』シリーズをレビューしたエントリで、作品内容よりも先に『講談社BOX』という形式に対し、怒りを示している。

「まずは軽くキレておこうか。この講談社BOXというパッケージ、講談社現代新書を抜いて現時点におけるワーストではないかっ」

確かに『BOX』は収納・保存・陳列の全てにおいて、面倒な仕様になっている。その上、主な読者ターゲット層はライトノベルを読むような中高生でありながら、箱入りのせいで価格も底上げされている。

また、アニメ化もされた『化物語』の異例のメガヒットの陰に隠れがちであるが、『BOX』では特に際立った新人作家の発掘に成功していない。それどころか既存の有名作家が書いた『BOX』作品でさえ、あまり話題になっていないのが現状だ。

そして2011年、星海社はまず『星海社文庫』で本格的に出版社としてスタートすることになるが、その第一弾のラインナップは『Fate/Zero』と『ひぐらしのなく頃に』。

いずれもゼロ年代に大ヒットし(『Zero』は『Fate/stay night』の公式同人作品)、消費しつくされたコンテンツだ。同人作品である『Zero』の初文庫化は大きな話題となったが、過去のコンテンツを再利用することで、本当に星海社は「新しい才能」を見つけることが出来るのだろうか?

※画像:(http://shop.kodansha.jp/bc/kodansha-box/)、Amazon

(小山内)

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(参考リンク)
星海社

404 Blog Not Found-「何かいいことでもあったのかい?」 – 作品評 – 化物語シリーズ

小山内 聡(おさない そう)
漫画とアニメとゲームが好きで軍事オタクの文系大学生。趣味はノンフィクションを読むこと。はてなダイアリー『日の丸海賊団』で書評を書いています。
http://d.hatena.ne.jp/kurohige-ossadot/
ツイッターはこちら↓
http://twitter.com/#!/ossadot

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